2019年05月09日
琉歌の表現を広げる文の彩(ふみのあや)
琉歌の表現方法
琉歌を作る時に役立つ表現の仕方を考えてみました。伝統的琉歌とは別の表現もありますが、児童生徒から高齢者まで分かりやすくしてます。
琉歌で比喩(ひゆ)は大切です
先ず琉歌の紹介
伊集ぬ木ぬ花や あん美らさ 咲ちゅい
我ぬん 伊集ぬぐとぅ 真白 咲かな
伊集ぬぐとぅ(伊集の花のように)
「…のように」とか「…みたいに」という表現を比喩(ひゆ)と呼びます。
この琉歌も辺野喜節では「伊集なとぅてぃ」と謡われてます。
「…のように」と比べれば「成りたい」との思いが強くなってますね。
これは「ひゆ」だと説明しないやり方で、琉歌で表現するとき
文字(音)数も考えながら使い方を選べば良い。
次は現代風の言葉から
「夏川りみ」を聴(き)く:歌を聴くこと。「夏川りみ」と関係の深い「歌」の代わりに名前などを使う。
ベートベンを聴く、も同じ。彼のクラシックを聴くこと。
「三ツ星かざして…」歌詞:オジー自慢のオリオンビル 歌:ビギン
三ツ星は某メーカーを指します。このように象徴するものを使うやり方もあります。
その他の「ひゆ」
反省しない「人」です:「人」全体ではなくて、個人を指す。
猫に小判。豚に真珠:価値が分からない時に使う言葉。
比喩表現の複合:このやり方が混ざり合って言葉は作られています。
「ひゆ」を使った琉歌の例
波の声も 止まれ 風の声も 止まれ(なみぬくぃん とぅまーり かじぬ くぃん とぅまーり)
首里天がなし みゅんち 拝がま(しゅいてぃん がなし おかお うがーま)
波や風の音を「声」に例(たと)えています。
琉歌に使える表現方法はもっとありますね
にこにこ わじわじー:感情や表情などを印象で表現してます。
ワンワン ニャンニャン 風がピューピュー 波がザーザー:鳴き声や音を印象的な言葉で表現してます。
スズメが「お喋りをしながら」飛んで行く。
「太陽のような人」
「職場の太陽だ」
人を自然などに例えたり、生物などを人に例えたり、多い表現です。
琉歌の例
恩納岳 あがた さとぅが 生まり島
森ん 押しぬきてぃ くがた 成さな
この琉歌は恩納岳が邪魔と詠んでます。ここで、邪魔をするのは世間や規則。
別の村とは付き合いが禁止されていたとの話も聞きます。「森」は規則や世間の意味だと気づきますね。
もっと生きている「大人の女」の思いの強さを深く感じられますね。
こういうやり方もある。作り変えていきます。
1 私は、琉歌を、作り、始めた
2 私は、始めた。琉歌作り
3 私は、作り始めた、琉歌を
4 琉歌を、作り始めた。私が。
言葉を並べ変えると、印象(いんしょう)も違ってきます。
うらうらぬ深さ なぐうらぬ深さ(同じ言葉を繰り返す)
先に書いた
「伊集」は上句と下句で繰り返しになってます。」
てぃんさぐぬ花で「爪先に染める」と「肝に染める」も繰り返しの表現方法です。
琉歌を作る時に少しは参考にしたい、やり方

体言止め:「です」や「ます」を使わない
明日は休み。休みだ、明日は。
遠回しな言い方で、言う事と意味が反対になるやりかた。
昔は寂しい村だった。信じるだろうか。(だろうか、と信じないだろうと伝えている)
ずいぶんと、お優しいのね。(いわゆる皮肉(ひにく)ですね)
辞めるのは自由だから。今でも期待する人は多いし、残念だがな。(結局、辞めるな、と言いている)
迷惑と思ってないさ。この前は辛(つら)い思いさせたから。:お互い様、とこの場を和ませている。
安室奈美恵の活躍は皆知っている。ここで書く必要もない。:書く必要はある、という意味になる。
このように表現の仕方は多い
(無意識に使っている時もあるが、
琉歌を作ろうと構えたら忘れるんだよねー)
(カッコの中)を呼びかけという文章の表現方法です
対句は多い。熟語は大体、対句になっている。ネットでも辞書検索などで調べられますね。
韻を踏む(いんをふむ)
琉歌でも上句と下句の初めに同じ音を入れる。
最後の言葉を同じ音にする方法もある。
「ラップ」でも似た発音で流れが良くなる。言葉を同じ響きにするのは「うらうらぬ深さ…」を参考にできます。
歌を流れ良く詠むのに必要なやり方。
作った琉歌を詠んでみて、どこかひっかからないか考えるのも良いですね。
多くのものを並べるかわりに、いくつか並べたら後は想像に任せる。
「好き」を「嫌いではない」といえば、好きというほどではない。
「悪い」を「悪くはない」といえば、何か気がかりだか、悪いというほどではない。「良い」という時も使う人は居る。
表現を細かくして行く
この宇宙で輝く太陽。回る地球の中。日本に私は住む…。
細かい部分から大きく広げる
日本という小さな島は地球にある国だ。地球というのは、この宇宙の…。
琉歌の表現を広げる文の彩まとめ
今まで話した「すべて」を入れるのは大変ですね。ちょっと言い方を変えたいとか、作り方に迷ったらもう一度読み返すと良いでしょう。
基本は語彙力(ごいりょく):色々な言葉や使い方を覚えることが作った琉歌を味わい深くします。